SIXIÈME GINZA MAGAZINE 010

Wardrobe Story

Interview with MARIKO NAKAYAMA

ファッションは自分史と共に

マディソンブルー(MADISONBLUE)が大人の女性の人気を集めています。スタイリストとしてキャリアの長い中山まりこさんが、2014年に立ち上げられたカジュアルなのにシック、クラシックでありながら“今”を感じさせる魅力的なブランドです。
中山さんにお会いして、ブランドやご自身のライフスタイルについて興味深いお話を伺うことができました。

ワードローブの再構築

「30代、40代と歳を重ねてきましたが、それぞれジェネレーションが変わる数年前から自分自身の気持ちがザワザワします。例えば30代を前に、それまでよく履いていたLevi’sの501が思い通りに着こなせなくなったり、40代を前にして、それまでよく着ていたセーターがしっくりこないと思うようになりました。それまでは、大好きな黒を着ていればいいと思っていたのが違う、違和感と感じるようになり、50代を前に40代のうちに、断捨離しちゃおうと思い切り、それまでの服を整理したんです」。
年齢を重ねることで起こる、自分に似合うファッションの変化に、ご自身がきちんと向き合い、ファッションスタイルをそこから再考されている中山さんの視点は、スタイリストというお仕事ならでは、ということなのでしょうか。
「仕事柄、沢山のブランド、トレンドのアイテムを取り入れていたのですが、40代半ば以降は見るからにトレンドというアイテムを排除していきました。違和感を感じ始めていた服を整理してワードローブをすっきりさせ、今の自分に何が似合うかを真剣に考えるようになったのです。
例えば、子供の保護者会に出かける時に、それまで選んでいた黒ではなく、ネイビーがいいのではと考えるようになったり、40代の自分はシルバーグレーやベージュなどが似合うようになったことを発見したりしました」。
スタイリストというお仕事と子育てを両立された中山さんだからこそ、生活の場面や環境にふさわしいファッションスタイルの変化や幅にも向き合われてきています。
「保護者会で知り合う方たちというのは、それまで自分が付き合ってきたファッション業界の方とは異なった感覚を持っておられたのに驚き、大人のおしゃれは自分の好きを貫くことだけじゃないなど多くのことを知ることになりました。同時に自分が服を作ることになった時に、それを再検証することになりました」。

自分に似合う、自分らしさを考える

「マディソンブルーというブランドは、今50代の自分が慣れ親しんできた古着やアメカジ・トラッドから得たスタイルの解釈をカジュアルにもモードにもフィットするバランスで着こなせるように、と考えたブランドです。お店を見てもらえばわかると思うのですが、シャツやジャケット・デニムを中心としたオーセンティックなアイテムに、例えばTシャツにコートを羽織る、ジャケットにデニムミニスカートを合わせる等のスタイル提案になっております。全身ブランドものやトレンドのものに身を包むのではなく、本当に良いと思えるもの見極める目を養うことこそ大人のカジュアルファッションには必要だと思うのです」。
中山さんの大人の女性についてのお話は続きます。
「それからクローゼットをいっぱいにしないこと。新しく入ってくる場所を常に作っておくというのも大事です。さらに自分をよく見ること。歳とともに髪の色や肌の色も変化します。その時々の自分に似合う色は何かを考えたり、その歳の自分らしさってなんだろうと考えることです。そうすることで、来るべき60代がもっと楽しみになってくるはずです」。
あくまで前向きに。それでいてその歳、の自分にきちんと向き合って、考えること。中山さんの自然体は、30代、40代の人生の積み重ねの経験があったからこそではないでしょうか。

中山さんの実感のあるお話を伺って、大人の女性として今の自分にきちんと向き合い、今の自分に似合うファッションスタイルについてしっかりと考えて選び、いつでもアップデートできる余白を持つことなど、すぐに実践したいと感じました。

MADISONBLUE

マディソンブルー

スタイリストの中山まりこ氏が2014SSよりスタートされたアパレルブランド。“質の良いものをカジュアルに”をコンセプトにシャツやボトムスなど幅広いアイテムを展開。シンプルなシャツを上手に着こなすオシャレ上級者を筆頭に、大人の女性に大変支持されている。中でも人気アイテムの、メンズのパターンをレディスサイズに落としこんだワークシャツ「ハンプトン」に特別に袖口を折り返した箇所に「ボンディ」とキュートな限定刺繍を施された【SIXIÈME GINZA】限定品にもご注目。スリーブ部分を程よく弛ませて、ふんわりとしたボリュームを出して品よく着こなして欲しい一品です。
今回【SIXIÈME GINZA】のスタッフ制服も中山さんのデザインによるものです。
「女性スタッフは丸襟で男性はボタンダウン。トラッドなアイテムにスポーティさとエレガントさを両立させ、丈感や素材、バランスには今っぽさを少しプラスしています」。と中山さん。スタッフの制服にもセンスが光ります。

マディソンブルーデザイナー

中山 まりこ(なかやま まりこ)

1980年代よりスタイリストとして活動。1980年代後半、ニューヨーク在住時にアメリカの雑誌『Interview Magazine』等でスタイリスト活動・ 雑誌のコーディネーターの他、NOKKO全米デビューのディレクターとして活躍。1993年KiKi inc.所属。広告・雑誌・音楽のスタイリングをメインに活動。2014年、自身のブランド『MADISONBLUE』を立ち上げた。