SIXIÈME GINZA MAGAZINE 001

ドレスアップして向かうところ

Interview with Mikako Nakamura

ひとりの女性が持つ
本来の美しさ

ドレスアップをしなければ。そう思う時にまず頭に浮かぶのが、中村三加子さんのMIKAKO NAKAMURAのドレスです。
無駄がなく美しい。それでいてエレガント。そのドレスを着るだけで、なんだか背筋が伸びるような気がします。それは、MIKAKO NAKAMURAのコンセプトにもある、デザインしすぎないというデザイナーの想いが形になっているからだと思います。そんなお話を先生に直接お伺いすることができました。
「ドレスアップとは単にスポーティの対極にあるスタイルだと思われがちですが、私は一人の女性の心と身体と装いが三位一体となることではないかと考えています。その基本にあるのは、エレガントであることです。だから、私がものづくりで一番大切にしているのは、その女性をいかにエレガントに見せられるかということになります。
よく、私のデザインはシンプルでミニマルという評価をいただきますが、ミニマルまで行き着けているかは置いておいたとしても、足し算するよりも引き算でデザインを考えます。それは、着る人を最優先に考えて、服はその女性が本来持っている美しさを引き出すためのものと考えているからです。ドレスアップとは内面の美しさを引き出すことと言ってもいいかもしれません。しかも女性の美しさは十人十色ですから」。
先生のお話をうかがうと、もっと自分自身を磨きたいとさえ思います。
そして、エレガントであることにこだわり、一人一人の女性に向き合おうとする、そんな優しさが、MIKAKO NAKAMURAのドレスの優雅さにもつながっているのかもしれません。

長く着られるドレスを

そしてもう一つ、MIKAKO NAKAMURAが大切にしていること。それが洋服は使い捨てにしないということだとおっしゃいます。
「大切なのは、削ぎ落とされたデザインだけでなく、素材のクオリティや、縫製の確かさです。
そうやって大切に作られた洋服は、長く着ていただけるものになると確信しています。洋服を使い捨てにしないという考え方です。日本には、着物を染め直して、母から娘に代々受け継がれ、浴衣などは最後には雑巾にまでして使うという、最後まで大事に使う習慣があります。
私のドレスもそうあって欲しいという願いで丁寧に作り上げています」。
日本橋で呉服を扱う家系で、お爺様は日本画家、お父様が友禅の絵師という環境で培われた想いやなせる技なのかもしれません。
アンティークやアートにも造詣の深い先生の審美眼が加わり、MIKAKO NAKAMURAにしか表現でき得ないドレスアップの真髄が生まれていると感じました。
「一人一人、その方に一番ふさわしい一着をお作りしたい。体型の変化やそれぞれのお悩みやご希望を、セミオーダーというスタイルで解消し、エレガントな女性として、自信を持って着ていただけるドレス。私がみなさまにお届けしたい一着です」。
MIKAKO NAKAMURAのドレスに袖を通す時、そんなデザイナーの想いを受け取り、特別な一着になってくれるような気がします。

シジェーム ギンザのドレスアップエリアでは、大人の女性がそれぞれ持つ本来の美しさを大切にし、凛としたエレガントな佇まいで特別な時間を楽しんで頂けるドレスをご用意したいと考えています。

MIKAKO NAKAMURA

ミカコナカムラ

2017 Spring & Summer Collection テーマは、【 White Canvas (ホワイトキャンバス)】。何もない広い真っ白な世界。その希望に満ちた新しい世界に、デザイナーは様々な花を植えました。カットジャガードの大胆な花を用いたドレスは2017年春夏を象徴する1着。日本で丁寧に作られたドレスは着用する人 の気持ちをも、高揚させてくれるでしょう。

MIKAKO NAKAMURA デザイナー

中村 三加子(なかむら みかこ)

東京都出身。祖父に日本山岳画家の重鎮、中村清太郎、父に友禅染の絵師、中村浩太郎。1993年に(株)オールウェイズ設立。様々なブランドの企画・デザインを手がけつつ、2004年に自身のブランド MIKAKO NAKAMURA を立ち上げる。2008年にはカジュアルライン M・Fil を発表。2012年、両ブランドを取り扱う旗艦店「MIKAKO NAKAMURA 南青山サロン」をオープン。「本当に美しいものはデザインされていない自然のもの」を信条に、【 less is more 】の精神で生み出される服は、シンプルでありながらも印象的。着る人をモードに美しく演出してくれます。